これは珍しい!ドイツ少数民族の(山羊さんまるごと)バグパイプ
先日、ドイツ南東部のNabburgにある、民家を敷地内に移築して展示した野外ミュージアム(川崎市立日本民家園みたいなところ)で、「Dudelsack - Drehleiertreffen」という催しがありました。日本語で言えば「バグパイプ&ハーディガーディ大集合」。敷地内の古い農家の中庭や民家の軒先で、地元バイエルンやお隣のチェコからやってきたバンドが、気が向いたときに適当に演奏するという、お気楽なイベントです。狭い世界なので、行けば多分何人か友達が来てるだろうと思い、私もボックとヒュンメルヒェンを持って出かけました。
さて今回の催しには、「ソルブ」と呼ばれるドイツのスラブ系少数民族のバンドも来ていました。ドレスデンの北方、ポーランド国境近くの地域の民族で、伝統的な言語もスラブ系です。もちろんドイツ語も話しますが、地図で見るとこの地域の地名はドイツ語とソルブ語の併記になっていたりします。
ドイツに住んでいてもソルブ民族の音楽を生で聴く機会は滅多にないので、これ幸いとばかりに堪能してきました。何よりインパクトが強かったのは彼らのバグパイプ。私が作っているボヘミアやバイエルンのボック・ドゥディもかなり「動物」度が高いのですが、ソルブの人たちのバグパイプ「コゾウ」はまさに山羊さんそのまんま(下写真)。ソルブのバグパイプについてはいくつか資料を持っておりますが、「コゾウ」の写真を見ると大抵山羊を一頭使った大きなバッグがついています。白山羊さんだけでなく黒山羊さんもあります。
さて肝心の音ですが、ソルブのコゾウの構造や奏法は、ボヘミアやバイエルンのドゥディ・ボックと殆ど同じで、強烈な外見とは裏腹にかわいい素朴な音がします。
http://www.youtube.com/watch?v=kCTPNuTcjm4
http://www.youtube.com/watch?v=my40uIjydz8
ボックとの聴き比べのため、当日飛び入りで参加した「バイエリッシュ・セッション」の映像も載せておきます。
http://www.youtube.com/watch?v=ey6pLWcnFW8
また、以前本部ログでごご紹介したショートネックのバイオリンもこの地域の民族音楽に重要な役割を果たしています。今回来ていたバンドでは、普通のバイオリンとはちょっと違った形のフィドルを使っていました。下の写真ではちょっと分かりにくいですが、右端の男性とその横の女性二人のフィドルはちょっと中世風(?)の形をしています。
今回ご紹介した「コゾウ」というバグパイプの他、ソルブ地域には「ミェハヴァ」「ミェハヴカ」という種類のバグパイプもあります。これらについては、また別の機会にご紹介したいと思います。
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2011/06/02/4704
バグパイプ工房そのだ
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いつもメチャメチャお世話になっているドイツ在住のバグパイプ製作家、園田さんのブログから。 ヨーロッパでは動物の身体や頭部をそのまま使用したパイプって結構あるのですが此処まで思いっきり使ってると凄いなぁ~って思います。 こういう身体をそのまま使ってるバグパイプの場合、どうやって皮をはいで使ってるのかなぁ~って事で。 広範囲に切れ目を入れると縫い合わせる時、空気漏れとか気にしないといけないし。 なんて構造的な部分が非常に気になるのですが。 詳細な記事は園田さんのブログを(^_-) Blogkで紹介 Fa... [続きを読む]
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