カテゴリー「鵜殿のヨシ」の記事

2012年1月23日 (月)

鵜殿のヨシ「ヨシ刈り祭りのご案内」

 久しぶりに鵜殿のヨシ関連イベントのご案内です。

 その昔はスウェーデンでもセックピーパのリード素材として使われていたというヨシ‐Phragmites Australis‐ですが(最近はこれに代わって地中海産のArundo Donaxという葦が多用されています)、篳篥のリード用ヨシの産地で有名な大阪府高槻市鵜殿地区では、2月4日にヨシの収穫を体験できる「ヨシ刈り祭り」が行われます。

 ちなみに私がこれまでArundo Donaxで作った限りでは、セックピーパのリードには外径6~6.5mm、内径4~4.5mmのものが適しているようです。残念ながら、このサイズの鵜殿のヨシが手元に無いので、まだ自分で作ったことはありません。実際にやってみるとすれば、ヨシの場合、繊維の部分の密度や硬さがArundo Donaxとは違うものの、まずはArundoと同じサイズから試行錯誤を始めたいと考えています。なお、内径はドリル刃を用いて4mmや4.5mmに調整することが出来ます。

 もちろん、ヨシはリード以外にも様々な用途があり、大変面白い素材ですし、鵜殿は淀川河畔に残された貴重な自然観察の面でも大変興味深い場所です。「ヨシ刈り祭り」の詳細はhttp://udono.jimdo.com/でご覧頂けます。私も日本にいれば是非とも参加たいところです。ご興味のある方は、この機会に自然を満喫しながら収穫を楽しんでみてはいかがでしょう。 

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2012/01/23/10632

バグパイプ工房 そのだ

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2011年1月16日 (日)

鵜殿のヨシ刈りを体験しませんか。リードの材料になるかも?

バグパイプ・リードの日本産素材を探し求める中で、淀川・鵜殿のヨシの保全活動に携わっている「鵜殿クラブ」の皆様に出会ったのは、ちょうど2年前の今頃でした。そのとき、たまたま前年に伸びて枯れたヨシを刈る「ヨシ刈り」の時期で、「リードの試験材料にするヨシが必要なら、一度ヨシ刈りに行ってみたら」と勧められ、翌日同クラブ主宰の小山弘道先生のご引率で、鎌を片手に鵜殿のヨシ原へと向かうことになりました。そこで刈ったヨシは、試験材料とすべく乾燥させています(以前ご紹介した、ドゥダイのリードに使用したヨシは、篳篥の蘆舌製作者の先生から分けて頂いた、既に乾燥済みのものです)。

ヨシをリードに使ってみたいという興味があったのはもちろんですが、それを別にしても、このヨシ刈りは大変面白い体験でした。見渡す限り数メートルの丈のヨシに覆われた鵜殿のヨシ原は、都会を流れる淀川河畔にありながら全くの別世界といった雰囲気で、ちょっとした非日常感覚が体験できます。また、ヨシのほかにも希少種の植物が生えていたり、野生動物も生息していたりします。

鵜殿では2月5日に、「ヨシ刈り祭り」という催しを行うそうです。関西在住の皆様、一度参加してヨシ刈りを体験してみてはいかがでしょう。この日以外にも、ヨシ刈り自体はほぼ毎日行っているそうですので、2月5日に都合の悪い方は、別の日に体験することも可能だとのこと。ヨシ刈り祭りの詳細、またお問い合わせ先については、こちら(「_2011__.pdf」をダウンロード )をご参照下さい。

なお、ヨシをシングルリード・ドローンリードの舌に使ってみたい、とお考えの方は、太めで肉が厚く、指でつまんでもくしゃっとつぶれない固めのものを刈ってきて、十分乾燥させてから薄く削って試すのがよいと思います。

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2010年11月10日 (水)

バグパイプ・リード素材としての可能性を秘めた「鵜殿のヨシ」/保全活動をTVで紹介

10月5日のブログ記事で紹介しましたが、淀川河畔・鵜殿地区のヨシは、雅楽で使われる篳篥(ひちりき)に欠かせないほか、バグパイプのリード素材としても使えることがわかりました。(鵜殿のヨシ製リードを使ったバグパイプの音はこちら。オーストリアの名手による演奏です。→http://www.youtube.com/watch?v=dVuBjuzguZU)。

さて、この貴重な鵜殿のヨシの保全を行っている小山先生のご活躍が、この度TVで紹介されることになりました(下記)。

11月18日(木)午後7:54分から3分間くらい。

朝日放送(6)チャンネル、番組名「ココイロ」

番組ホームページ http://asahi.co.jp/kokoiro/

高槻市民、雅楽関係者の皆様はもちろん、日本のバグパイプ奏者の方々にも、是非ご覧頂きたいと思います。

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2010年10月 5日 (火)

淀川・鵜殿のヨシでバグパイプのリードを作成

 大阪府高槻市の淀川沿いに、鵜殿という地区があります。ここに育つ「ヨシ」と呼ばれる葦の一種は、篳篥(ひちりき)の蘆舌(ろぜつ)と呼ばれるリードの最高素材として、雅楽の世界では古くから重宝されているそうです。

 楽器に利用できる素材があれば何でも利用してみたいし、それが日本の伝統素材なら尚更。ということで、鵜殿のヨシをバグパイプのリードに使えないかと短絡的に考え、2009年の1月、鵜殿の保全活動をしておられるK先生と淀川河川レンジャーのTさん、それに「鵜殿クラブ」の皆様をお訪ねし、皆さん行き着けの居酒屋で色々とお話を伺いました。翌日にはK先生のご指導でヨシ刈りの体験もさせて頂いた上、篳篥の蘆舌を作っていらっしゃるO先生をご紹介頂き、後日O先生から乾燥済みのヨシを分けて頂きました(写真)。

Udono_1

 私は普段はArundo Donaxと呼ばれる、主に地中海地方やカリフォルニア産の葦(バグパイプ奏者が一般に「ケーン」と呼んでいるのはこれです)を使ってリードを作っています。ヨシはArundo Donaxに比べると直径が小さく、肉も薄いため、まずはシングルリードの舌の部分に使ってみようと考えました。下の写真はヨシを幅5mm程度の縦割りにしたものです。ここからナイフと紙やすりを使って、平らな薄い切片に加工します。

Udono_2

 実際に計測したわけではないのですが、ヨシはArundo Donaxに比べると軽い質感で、密度も薄いような印象を受けます。しかし、これをArundo Donaxの場合と同じ厚さに加工して鳴らすと、音はむしろ硬質になり、ドゥディなどシングルリードバグパイプのチャンターリードにするには制御が難しそうだ、というのが第一印象でした。

 そこで一旦挫折してしまい、仕事が忙しくなったこともあって、1年近く開発を中断していました。そこへ、たまたま口吹き式ドゥディを持っている人が訪ねてきて、その楽器に合う葦のチャンターリードを作って欲しい、との依頼を頂きました。もともと彼の楽器についていたリードは、プラスティックチューブにカーボン製の舌を備えたものだったのですが、このほかに葦のリードが欲しくて色々と試したがうまくいかず、相談に来られたそうです。そこで、最初はフランス産のArundo Donaxを使ってみたのですが、彼の楽器の「個性」に合うようなリードが出来ず、半ば苦し紛れに鵜殿のヨシを試したところ、これが奏功しました。もともとのカーボンの舌がかなり薄いのに注目し、ヨシも極めて薄い切片にして利用したところ、オリジナルのリードと同じような「しなり」が得られたようです。

 この経験に基づいて、今度はプレトリウス・ドゥダイのチャンター・リードを作ってみたところ、これも軽やかな音がでるように仕上がりました。(写真下)

Udono_3

このプレトリウス・ドゥダイは、チェコ・ストラコニツェの国際バグパイプフェスティバルで展示し、知合いのバグパイプ奏者数名に試奏して頂いたところ、大変好評を頂きました。そのときの映像はこちらでご覧頂けます(http://www.youtube.com/watch?v=dVuBjuzguZU)。このビデオを撮影した際にはチューニングをしないでお渡ししてしまったため、ちょっと音程が気になる部分もありますが、音色はお分かりいただけるかと思います。

 鵜殿のヨシにもリード素材としての可能性が見えてきたので、日本発の素材としてこれからも色々と試してみたいと考えています。

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  • 2.2 セックピーパ(スウェーディッシュ・バグパイプ):ドローン
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